嬉し楽しき日


季節も7月の入り
暑い日が続く中、後半から始まる夏休みに
備え、テストがあり、緊張するものの
終ってしまった解放感とこれからの夏休みを
考えれば皆して浮き足だって居いた。

あと一週間で夏休みという日
何時もの様に一と一緒に登校し、朝練を見学して
2人並んで校舎に入り階段で別れ、
帰りはが図書館などで時間を潰し
ある程度の時間になったら一のいるグランドに出て
終るのを待つ、そして、朝の様に2人並んで家に帰る。

4月から始まった約束は7月の今も続いている

そんな繰り返しの日々を送っている7月14日

いつもの時間に登校して
何時もの様に校舎に入って
一と別れ教室も入り友達の
挨拶をした後話をしていると、教室の後ろ出入り口から
背の高い大きな男子生徒が教室内を見ていた。

誰かを探しているみたいだけど・・・・・

見え隠れする姿に人物の特定する事が出来ず
授業開始のチャイムが鳴った。

教室に各科目の先生が入って来て、時間が立てば
出て行くの繰り返しが続く中、
休み時間になるとは教室の後ろの出入り口で
隠れる様に姿を隠し、誰かを探している様に見渡し
チャイムが鳴ると慌ててドアがら離れて
どこかに走って行ってしまうのだった。

そんな不思議な行動が繰り返される
その度にの機嫌が悪くなっている様だった

・・・なんだか怒ってない?」

には怒ってないから安心しするとよ」

「そ・・そう?」

「ところでお昼なんだけど外で食べとよ。
 良かね?」

「それは、かまわなけど・・・・・」

迫力の籠もった雰囲気で
話し掛け、有無を言わさず頷かせた。

そんな奇妙な雰囲気を感じながら
昼前の授業を受けて始めた
中学に入って以来、初の集中出来ない授業を
受け始めるのだった。

なんだか良く解りませんが速く昼食になります様に!

黒板に書かれた英文を書き写しながら
空の上に居るであろう神に祈った。

が、時間が早くなる訳でもなく
何時も通りに進んでいった。

終了のチャイムが鳴ると教台に立っていた
先生が教室を出て行くと、教室中解放感に包まれ
友達同士会話をしながら昼食を取り始めた。

。外に行くちゃよ」

「うん」

に声を掛けられ、はカバンを持って
先に歩きだしているの後を追って外に出ると
太陽の光が眩しく、痛いと感じられる位の
光の多さに一瞬目が眩み片腕で目を太陽の光から
避ける様に額前に出すと、目の部分だけ影になり
光の強さに慣れるまで続けていると、暫くして
慣れてきたのか影なしでも大丈夫の様になり
前を歩いているの後ろについて歩いた。

暫くし歩くと、春に満開を見せたサクラの木の
麓に腰を下ろした。

「ココだったらアイツが見えんたい
 安心して食事が出来るとよ」

お弁当の蓋を開けながら、独り言を言うの言葉に

「見える?誰かに見られるのが嫌だったの?」

の疑問の声がかかった。
問われたの言葉に驚いた後、額を押さえ
ワザとらしくため息を付いた。

「気が付いてなかったとね・・・
 休み時間ごとに後ろのドアに張り付いて見とったのは
 の事を見とったちゃよ」

「そうなんだ・・・・なんだかどこ行くにも見られてたから
 慣れちゃて気が付かなかったよ」

の言葉通り、東京から引っ越してきたという事で
スキあれば色々は話を聞こうと言う同級生や
物珍しそうに見てくる視線に始めの頃は小さくなって
あまり目立たない様にしていたのだが、
皆の好奇心が尽きる前にがコノ状態に
慣れてしまったのだ。

「慣れたからといって、あの視線に気が付かないのは
 女としてヤバかね!」

「そうかなぁ・・・・」

の呆れの言葉から力説に変わった言葉を聞くと
困った様に返事を返しドアで繰り替えさていた状況を
思い出していた。

視線と言っても、誰か探す様に首を動かしていたから
てっきり、人探しだと思っていたんだけど違ったのか・・・・・
て、言うかダレだったんだろう?

少し反省をしていると浮んできた疑問を
今度は声にしてに聞いてみる。

はその人が誰だか知ってる?」

「はぁ!?そんな事も解らんかったとね?」

半音ずれた声を出すと、飽きれ声で聞き返された。

そんな声に気不味そうに無言で頷くと、

「アイツも報われんヤツたいねぇ・・・・・」

言葉の後に体の全てから重い空気を吐き出す様な
ため息をした後

「アレはショーエイちゃよ。
 本当に気が付かんかったと?」

「うん・・・そっか昭栄君だったのか・・・
 なんだか悪い事しちゃったなぁ・・・・・・」

の答えを聞き、思い出される昭栄の姿に
心で謝りながら、言葉を続けた

「お弁当食べたら昭栄君の所に行ってくるよ」

「あぁ、その必要はなか」

まるで、の言葉が前もって解っていたのか
の答えはすぐさま返ってきた。

「もう少ししたら、ココにショーエイがくるたい
 その時に聞けばよかね。しっかし今ごろ
 探し校内走り回ってやろうね」

「じゃ、外でゴハンは!」

「アイツを困らす為たい」

走り回る昭栄を思い浮かべたのか
楽しそうに笑っているに対し
首を左右に振って、昭栄の姿がないか捜した。

自分の事を必死になって探し回っているであろう
昭栄を自分も探しに校内に戻るべきか
それとも、すれ違いにならない様にこの場所で待っているか
迷っていると、遠くから名前を呼ばれるのが聞こえ
そちらの方向に視線を向けると、
必死になりながら走ってくる昭栄の姿が見え
あっという間に自分達の居る場所までくると

!今日俺の誕生日たい!何かくれんやろか!!」

走ってきたばかりだと言うのに、乱れの無い声に
昭栄にと水筒からお茶を注いでいたに言葉がかかった。



「男が女子からモノをねだるなんてなんて男たい」

の言葉が入った。

「な!なんばゆうとね!

先ほどのの言葉がゴングとなり
口喧嘩が始まった。

両者、第一声を発したものの
昭栄が最初から詰まり相手にスキを与えた。

もちろん、このスキをが見落とすはずもなく

「ドモルなんて何か裏があるたいね!
 のプレゼントなんの見返りがつくんやろ?」

「裏なんてなか!それに見返りもないたい!!」

「なんだか怪しかとね」

「怪しくなか!俺は純粋にのプレゼントが欲しい
 だけたい!」

勝負はハッキリと出たのでココが止めどきだろうと
は先ほど注いだお茶を昭栄にさし出し

「昭栄君、今日誕生日なんだねぇ。
 おめでとう」

微笑みながら言葉と共に差し出されたお茶を
受け取り、いきなりの言葉が理解出来ず
止まっていると、にも話かけた

もお茶飲む?」

「貰う」

差し出されたコップにお茶を注ぎ、に差し出すと
は再び昭栄に話かけた。

「プレゼントは今日欲しいよねぇ?
 何も用意してないんから、何でもいいかなぁ?
 もちろんきちんとしたのは後日渡すという事で」

から貰えるんやったらなんでもよか!」

の言葉に首を上下に振り頷くだけの昭栄に

「じゃ、今から考えるから放課後まで待ってて」

約束を交わすと、広げていたお弁当を片付け
昭栄の手に持っていたコップを貰いカバンの中に
片付けると、3人は校舎の中に戻っていった。

午後の授業を受けながら、放課後までに昭栄に渡せる
プレゼントを考えていると、本日最終授業の時に
後ろに居るから話し掛けられた。

、昭栄にナニ渡すんやろ?」

「ケーキなんてどうかなぁ?」

教師が黒板に文字を書いているのを見計らって
に返事を返した。

そしても同じ様に教師の行動に注意しながら

「ケーキ?ドコで作るとね?」

「今日、家庭クラブがある日だから
 お邪魔させて貰って作ろうかと思ってるんだけど」

「材料はどうすると?」

「授業終ったら直ぐに買いに行く」

「じゃ、私が部員に話し付けとくたい
 は材料買いに行くと良かよ」

「ありがとう、

教師が黒板から離れ、話だした為
会話を中断させ、ノートに書き写しだした。

授業終了のチャイムと共にはカバンを持ち
教室から出てゆくとは家庭クラブの部員を探し
出すと、話をし始め了解をとった。

走って買い物を済ませ帰ってきた
別けて貰った調理台へと案内すると
昭栄もその場におり
は部員達に礼を言うと早速料理に取り掛かった。

材料はホッケーキミックス、卵、牛乳、ホットケーキのシロップ
キャラメルだった。

キャラメルを細かく切り、残った材料を混ぜ合わせ
キャラメルを加えると、型に流し込みオーブンで焼き始めた。

材料の量が多かった為、始めの焼きで2つ焼いた。

1つは昭栄のケーキ
もう1つは協力してくれた家庭クラブへのお裾分け

オーブンに入れてから約40分
綺麗に焦げ目のついたケーキが焼き上がり
家庭クラブと昭栄の元に届けられた。

出来上がったばかりのケーキを切り分け
本日の主役の前に出すと、
慎重に1口ぐらいに切り分けると、恐る恐る
口の中にケーキを入れた。

「うまか!!」

数回噛んで飲み込んだ瞬間に昭栄の
大きな声で感想を言うと、は嬉そうに微笑んだ。

その笑顔を見た昭栄は顔を真っ赤させ、皿に残っていた
ケーキを食べ終わらせ、次のケーキに手をかけた。

昭栄の横に座っていたも昭栄と同様に感想を言うと
すぐさま食べ終え、新しくお皿にケーキを乗せ
最終的にはお昼の時と同様、口喧嘩が始まってしまった。

そんな2人を嬉しそうに見ながら、余っていた生地を型に
入れ焼き始めた。

焼いている間に持ち帰る時様に箱が無いか部員に聞くと
同じ様にパウンドケーキを焼いたと言う部員が箱をくれ
飾り付けのリボンまで貰った。

焼き上がり、冷ましている間も喧嘩は収まらず
仕方ないと思い、ケーキを箱に入れリボンで飾り付けをし
時計を見ればちょうど良い時間だったので

、昭栄君。私帰るけど2人はどうするの?」

一時中断できればと声をかけると

「気を付けて帰るとよ。て、言っても先輩が居るから大丈夫か」

「変な男が近寄ってきたら俺を呼ぶとね!
 すぐさま駆けつけるたい!!」

「アンタが一番危なかとね!」

「そんなことなか!はいつも俺をそんな風にいうとね」

終わりが見えてきたのだが、再び火の付いた2人に
ため息を付きながらも

も昭栄君も遅くならない様にね」

そう、言い残しグランドに向って走り出した。

どうやら、本日は早く終った様で制服に着替えた
一がを待っていた。

謝りながら、一と並んで帰る

今日起こったことなど、を話しながら帰る時間は
短く感じながらお互い家の前に立った時
がリボンの飾り付けをされた箱を渡した。

「今日、焼いたんです。もし良かったら食べて下さい」

言葉だけ言うとは門を潜り家の中に入っていった。

一もから渡された箱を持ちながら家の中に入っていった。

そして、お互い窓ごしから話をする。

この行動もなんだかお約束となり毎日続けられた。

「ケーキ、どうでしたか?」

「上手かった」

「良かった」

「今日調理実習でもあったと?」

「いえ。友達が誕生日だったので作ったんですよ」

「そいつは男か」

「はい」

「そうか。
 俺は寝る、もはよ寝ると」

「解りました。手紙書き終えたら寝ます」

「おやすみ」

「おやすみなさい」

お互い同じタイミングでカギを閉めカーテンを引く

そして、電気を消し眠りにつく

そんな毎日の繰り返しが終わり、始まっていく。


そして数日後、は言葉通りケーキ以外に
昭栄にプレゼントを渡し抱きつかれ、頬にキスされると
の回し蹴りが昭栄の背中に入った。

本日のゴングは回し蹴りだったみたいだ・・・・